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ひきこもり支援に携わる方のためのヒント集

ひきこもりVOICE STATION場面(1)ひきこもり状態である本人につながることが難しかった

【具体例】

  • 家族との接点はあるものの、ひきこもり状態の本人が部屋から一度もでることなく、訪問を重ねても会うことができない。
  • 福祉事務所からひきこもり状態の方がいるという情報を得たが、その先にどのようにして支援につなげればよいかわからない。

支援のヒント 〜支援を通して得られた担当者の学び・気づきより〜

「信じて長期的に支援する」

  • 親と話す、部屋の前で何でもないこと(天気など)を話すといったことを繰り返したり、手紙を差し入れたりしながら訪問を継続し、1〜2年がかりで会えるようになったケースもある。外出を促す、本人の気持ちを聞くなど、本人の安心を脅かすような会話はしない方が良いようだ。
  • 仮に親と本人の気持ちが同じ方向を向いていない場合、その段階での訪問はよりひきこもり状況を深刻化させてしまうことがあるため、訪問は焦らずタイミングを待つべき。
  • 家庭での暮らしを安心安全なものにし、家族や支援者が信じて待つことが大切であると感じた。
  • 一回の訪問であきらめずに電話連絡や定期的訪問など家族との繋がりを継続し続ける必要がある。

「会えない場合は手紙で伝える」

  • 当事者との手紙のやり取りから出向くようになったケースがある。
  • 支援者は本人の興味関心のあるものに関しての手紙を送りいつでも相談に乗ると継続して伝え続けた。
  • 話しを出来ない場合は手紙を渡す。
  • 会えなくても、手紙で支援者について知ってもらう。手紙の内容も本人の興味に合わせた内容にする。

「家族との関係をつくり、家族を通して支援する」

  • 当事者と出会うことよりも、まずは家族との関係を作っていく。訪問を繰り返す中で、当事者と出会えるチャンスを待つ。
  • 家族支援を継続する中で、少しでも本人の変化がある場合があるため、それを掴み支援へつなげることが大切。
  • 家族との関係を継続し、家族と協力しながら糸口を探すことが必要。
  • 家族との関係を継続するべく、家族向けの講演会等を開催するなど、関係が途切れない工夫が必要。
  • 親子関係の改善から両親とともに来てくれるケースが最も多い。ただ見守るだけでなく当事者本人、当事者と親・家族との関係を十分把握して、タイミングを図り、親に背中を押す等のアドバイスをして、それが面会に繋がるケースもある。
  • 家族からは本人を焦らすような声かけを控え、家庭内でできる家事を少しずつ増やし、家庭内での役割を作っていくといった支援を行った。
  • 家族は「本人が行かなければ意味がない」との考えがあったが、家族面接でも関わり方が変わることで、本人の変化にもつながることを伝えられたらよかった。

「家族の気持ちに寄り添う」

  • 直接本人に関わることはできなくても、家族相談を継続すると、家族の対応等に変化が起き、家庭内の雰囲気が改善されることがある。そのためには、家族自身が心にゆとりを持つことが大切であり、安心して話ができる場が必要であると感じる。
  • 家族への精神的サポートを十分行いながら、時間と本人自身の意識変化のタイミングの見極めは重要である。

「アプローチの方法をよく検討する」

  • 自宅訪問の際は家族から本人へ支援者が訪問する旨を伝えて拒否が無いことを確認する必要がある。一回の訪問であきらめずに電話連絡や定期的訪問など家族との繋がりを継続し続ける必要がある。
  • ひきこもり状態の方について、⺠生委員を通じて情報取集を行うことがあったが、支援につなげるのは難しい場合がある。支援対象者に関する情報が入った際にアプローチ方法を予め検討しておき、フローチャートなどを作成するなど支援に繋げる工夫をする必要がある。

「他機関と連携して支援する」

  • 支援者が自身の属する機関だけで何とかしようと思わず、他機関にも関わってもらえる可能性を模索していくことも大切。
  • 他機関等へ繋いだ際には、その後のフォローをどのようにするのか検討しておく必要がある。

委員からのサジェスチョン

  • 本人と家族を別で考えがちですが、家族も相談の当事者であり、家族の気持ちに寄り添うことが大事です。
  • 家族が変われば本人も変わるという考え方もあります。家族支援を何年も続ける中で家族による本人への対応が変わり、結果として本人に会えることもあり、継続が大事です。
  • 支援を通して、本人に会えない状況というのは多くあるものです。そうなると、ひきこもりの状態に至るまでのいきさつなどを家族に聞くことで、本人の状況や思いを理解しようとすることが、まずは支援の中心になるでしょう。
  • 家族の存在がひきこもり状態である本人にとっての重荷になっているのではないかと感じられる場合は、その状況をどう緩和していくかを考えていくことも大切です。その際、「家族とはこういうものだ」と決め付けて正していくということではなく、例えば、家族が本人に寄せる期待が重いという場合も、そのことを含めて、まずは家族全体を理解していくことから始めていくよう心掛けたいものです。
  • その人がひきこもり状態にあることばかりに注目し、それをどう変化させようかと思って関わるのではなく、その人を理解したい、同じ人間同士として出会いたいという気持ちで関わり、その人の思いに耳を傾ける姿勢が大切です。

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