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- ひきこもり支援に携わる方のためのヒント集・場面(2)
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ひきこもりVOICE STATION場面(2)本人への支援の継続が難しかった
【具体例】
- 親に連れられて支援機関に来所しているが、本人はあまり乗り気ではないように見える。
- はじめに来所して以降、何度か「居場所」に来られたが、あまり意味を感じないと言って来所しなくなってしまう。
- 就労支援機関などいくつかの関係機関へ同行支援を行うものの、本人はやりたいことが見つからないと言う。
支援のヒント 〜支援を通して得られた担当者の学び・気づきより〜
「信頼関係を構築する」
- 本人の言葉の裏にある気持ちが引き出せるまで、支援者は時間をかけて関係性を築く必要があった。
- 支援者は裏切られても絶対に裏切らないことを徹底しやっと信頼関係を築けた。
「本人の選択を尊重する」
- そういう選択肢もある、本人が選んで決めたことを大切にする、と考える。
「本人のことをよく知り、認める」
- 普段の何気ない会話などから本人の好きなことなどを探り、本人の意向をくみ取るようにすることが必要と感じた。また、就労体験などを通して本人の強みを見つけ、褒めることで自己肯定感を持ってもらうことも必要であると感じた。
- 出来ていることを「評価する」という対応が本人を傷つけてしまうかもしれない。本人の気持ちを注意深く観察し、対応していく必要がある。
- 口頭でのやりとりだけでなく、アセスメントツールを用いて客観的に評価する。
「急がずな長期的な支援を視野に入れる」
- ひきこもり支援は長期の支援となる事を職員も自覚し支援に当たる。
- スムーズに来所ができ、映画の話など世間話ができたことで、支援者が安心感を得てしまい、支援を急いでしまった面があった。
「支援を早期に開始する」
- 長年ひきこもりの状況が続く家庭では、家庭での関係性が出来上がっているため、変化への気持ちが強くない場合がある。いかに早く(家族や当事者が)若い時に相談に来てもらえるかが鍵であると考える。親が活発に動くことのできる壮年期と比べ定年を迎えると体力も落ち家庭内での変化を起こす気持ちが弱くなる傾向があり、早期からの支援が必要と考える。
「初回面談を大切にする」
- 初回面接が大切であり、継続して支援できるように本人のニーズをアセスメントして理解する。
「家族にアプローチする」
- 家庭内の土台が出来ていない中で、親を通じて本人とやり取りをすることは困難。親のひきこもり状況への捉え方や関わり方について、家族面談を継続すべきであった。
- 本人の来所が途絶えた後も、母親との面談は継続し、本人に対しては、時々お手紙を書いて母親から渡してもらった。本人が自暴自棄となる気持ちも受け止めながら、再び本人が来所できるように支援者と母親がつながっておくことが大切。
- 本人支援と並行して家族との情報共有をすることで、本人が躓きを感じた際に伝えやすい関係を作っておく。
- 葉書・手紙を本人に送付することを重ね、読んだ様子があるか等、家族に確認し続けた。
「ロールモデルを示す」
- ピアサポーターに会ってもらうことで、ひきこもりの状態にあった人が、様々な関係を持ち、社会参加していった方のモデルを具体的に知ってもらう。
「必要に応じて専門機関につなげる」
- 本人の意思確認をしながら通い続け、病院同行を提案し、アルコール依存症の治療に繋がった。
「その後の相談先を伝えておく」
- その後の相談先については伝えておく(「もし〇〇しようという気になったときは、こんなところがあるよ」程度で)。本人に伝わっていないようでも、ちゃんと伝わっており、数年経ってからそこに相談が来ることもある。
委員からのサジェスチョン
- 支援をするにあたり、本人の状況や状態がどうかを確認し、本人の選択を尊重し、本人を知り認めることが大事です。
- 支援の担当者は、はじめから本人のことを、「問題を抱えている」「出来ないことがある」というように予断を持って向き合うことがないよう気を付けたいものです。
- 既存のメニューに本人をあてはめるのではなく、本人の思いや求めていることの方に支援を合わせていくような工夫も考えたいものです。
- 支援を望んでいないということをめぐるその人の気持ちを、じっくり聞いていくことも大切です。
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