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ひきこもり支援に携わる方のためのヒント集

ひきこもりVOICE STATION場面(3)ご家族から理解や協力を得ることが難しかった

【具体例】

  • ひきこもり状態である本人からは前向きな気持ちが感じ取れるが、家族が支援に対して後ろ向きな気持ちを持っている。
  • 親子で相談の場に来所するが、ひきこもり状態である本人の意見よりも、親の主張の方が強い印象がある。
  • 家族間の意見の違いや不和、経済面など、ひきこもりを経験している本人以外の家族において気になる点がある。

支援のヒント 〜支援を通して得られた担当者の学び・気づきより〜

「家族の想いに寄り添う」

  • 理解してもらおうと指導的に対応するよりも、保護者の大変さに寄り添いながら保護者の気づきを待つ方が、支援が切れないためには良いようだ。
  • 本人への対応について知りたいということが両親の主訴であったが、まずは母の気持ちをサポートすることを大切にした。母の辛さや揺らぎを表出できる場を確保することが大切だと感じた。
  • 受診の必要性がある場合、その必要性を分かっていただけるように説明することはもちろん、両親が受診に納得されない場合であっても責めるのではなく、両親の気持ちを十分に聞き、その他両親ができることについて共に考える姿勢が大切。
  • 対応に疲れたご家族が、ご自分が辛いために即刻の解決を望んでいると捉えられるケースがあった。家族の不安や心配について時間をかけて十分傾聴していくと、次第に家族が自分の気持ちや生活の大変さを話すようになった。話して楽になったことが表情にも表れ、関わる気力も出て対応も変化した。それが本人にも良い影響を与えた。

「家族に丁寧に説明する」

  • 面談等の回数を確保していく。
  • 面接初期の導入を丁寧に行う。
  • 家族教室への参加を提案。
  • 本人の僅かな変化を聞き取り、家族に対して良い対応をフィードバックすることで、家族自身が相談の大切さに気付き、継続相談になったケースを経験した。
  • 本人のみではなく保護者が密に関わっているケースでは、本人と立てた見通しを共有する場や保護者の気持ちを聞く場が定期的に必要だと感じた。
  • 本人の心理状態を図式で示し、当事者の辛い思いについて様々なケースをもとに丁寧に説明する。また、回復までの過程を示す「親子の会話回復ステップ」等を見せながら、精神状態を図式化して説明すると、当事者の思いに共感することの大切さを理解してくれる親も多い。
  • いざという時に繋がれるよう、いつでも再相談していただきたいということや、地域の相談先(民生委員、社協等、その他繋がることができそうな窓口)を案内し、孤立することが無いように対応する。

「家族を全体として捉える」

  • 家庭全体の支援の視点が必須で、親の福祉サービス利用の確認や、親自身の支援者との連携が必要であった。
  • 親が高齢の場合には、今後の両親の状況によっては高齢者分野の支援者と関わっていくことも考えられる。自宅に本人をメインとしない訪問があることで、本人に変化がみられる可能性もあると考えている。
  • 同居者でない兄弟姉妹が相談者の場合、本人の状態像を把握することが難しく、相談を継続することも困難なことが多いが、家族が集まる機会などを利用して、相談者から両親に声かけしてもらうといったことや、決して両親の対応を責めるのではなく一緒に考えて行きたいという協力関係をつくることが大切。
  • 自宅への訪問が親への刺激に繋がると考え、市役所で面談を行うよう試みたが、親からすると、逆効果で更に不安を強めることとなってしまった。
  • 家族の理解を絶対に得ないといけないと支援者が思いすぎると、本人への支援が後手後手に回る危険性がある。本人に合った環境を整えることが必要。
  • 経済的基盤などの家庭状況によっては、ひきこもりの状態を容認(現状維持)される場合も考えられる。

「支援におけるキーパーソンを見つける」

  • 家族がキーパーソンになり得るかをアセスメントし、困難であれば関係機関へつなぎ、本人支援を強化する。
  • 親以外にもこの問題について一緒に取り組んでくれる人がいないかを早い段階で確認しておくこと、親が高齢の場合、できれば親が元気なうちに一緒に来所してもらうようにすること。

委員からのサジェスチョン

  • 実際に、家族が中心となって対応いただきたい場面は少なくないですが、家族は 24 時間ひきこもり状態にあるご本人と一緒にいるため、疲弊することもあるでしょう。全てが家族中心である必要はなく、「支援者を頼ってほしい」というメッセージが家族に伝わるとよいと思います。
  • 場合によっては、住居を別にするなど、離れていただくことを提案しても良いかもしれません。
  • 家族と本人は立場が違うため、家族は家族のピアサポーター、本人は本人のピアサポーターが関わるという形で分けて考えてもよいと思います。
  • 家族には家族の思いや言い分があるので、本人だけでなく家族の気持ちも安心して語っていただき、理解する姿勢を大切にしたいものです。
  • 本人と家族は違う人間なので、意見や考えが違っても当然です。無理にまとめず、異なる思いが共存し続けられるよう、対話を続けることも意識したいものです。

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